アナログテレビチューナーでビデオキャプチャ入門
ビデオキャプチャって何?
ビデオキャプチャとはビデオやビデオカメラの映像をパソコンに取り込んで編集したり鑑賞したりすることです。ビデオキャプチャと言ってもテレビチューナーを内蔵しているTVチューナーカード、普通に映像だけを取り込むカードなどいろいろあります。チューナー内蔵型であればPCでテレビを見たりテレビ番組を録画して楽しんだりといったことができます。
最近のメーカー製のパソコンにテレビチューナーを内蔵しているモデルも多く、一般的になってきました。テレビチューナー内蔵型のPCは昔からありましたが、当時はマシンスペックやHDD容量も少なく実用的ではありませんでした。値段も手ごろになってきたうえ、上位のマシンスペックも安値で入手できるので、キャプチャをはじめるのはいい時期だと思います。
はじめるには?
はじめはキャプチャボードの入手です。キャプチャカードには大きく分けて2つの種類があります。ソフトウェアエンコード式とハードウェアエンコード式です。
この2つには大きな違いがあり、値段も違ってきます。エンコードとは外部から取り込んだ映像をパソコンで見れる動画の形式に変換する作業です。最近ではMPEGという方式が一般的です。
ソフトウェアエンコード式(以下:ソフトエンコ)
エンコードをソフトウェア上で行います。よってCPUパワーを多く必要としますので、CPUパワーが弱いと良い画質で録画しようとすると、コマ落ちしたり、録画中処理が重くなったりするという事態を招きます。ですが、ソフトエンコカードは自体の値段が安いので、入手しやすいため、録画せずにテレビを視聴する、録画はするけど画質はこだわらない等のユーザーに向いています。
ハードウェアエンコード式(以下:ハードエンコ
エンコードをカード自体のハードウェア上で行います。よってCPUパワーを必要とせず、比較的CPUスペックが弱いマシンでも安定動作します。録画中もパソコンの動作を重たくしないので、バックグラウンド録画なども最適に行えますし、ソフトエンコに比べコマ落ちなども抑えられ高画質で録画が可能です。
ただし、ハード自体の値段がソフトエンコに比べ高いです。最近では2万程度でそれなりのモデルが入手できるので、できればこちらがお勧め。
キャプチャ機器の種類
TVチューナー、キャプチャにも機器の形状が異なります。取り付け方、設置の仕方などが異なるので是非自分にあったものを見つけてみてください。
PCIスロット形式
一番一般的なカードの形状です。マザーボードのPCIスロットに挿して使う方法です。ただパソコン内部をいじる事なにるので、初心者には難しいかもしれませんが実は簡単です。ケーブルもごちゃごちゃせず、パソコン内に取り付けるためすっきりします。ただこの形状ですとパソコン内部のノイズを受けやすいし、カードの形状によってはパソコンに取り付けられない場合があります。
USB形式
外付けのチューナーなどで、USBケーブル一本で接続できるので非常に簡単で初心者にも優しい。ただこの中にもUSB1.1タイプとUSB2.0タイプがあります。
前者は最近見かけませんが、転送速度が遅く高画質録画には向きません。後者は転送速度も向上しており、高画質録画が実現できます。ただパソコンの外部に置くため、ケーブルやハード自体スペースを考慮する必要があります。USB2.0タイプはマシンがUSB2.0に対応している必要があります。
グラフィックカード搭載型
グラフィックカードにTVチューナーやキャプチャカードが内蔵されているか形です。再生支援しているものが一般的でAGP・PCIスロットに挿せばビデオカードとテレビ両方使えます。ただあまりお勧めしない品です。画質良し悪しはモデルで決められますが、もしその点を特化するのであればPCIボードタイプやUSB]タイプを利用するのが良いと思われます。
必要なマシンスペック
ビデオキャプチャする際に必要なのがコンピュータの性能、つまりマシンスペックです。
マザーボード
マザーボード。実はこれが一番の重要なのです。最近では減ってきていますが、マザーボードのチップセットとキャプチャカードの相性によって全く動作しないなどのケースが出る場合があります。
キャプチャカードのメーカーのWebサイト等で動作確認マザーボード、チップセットのリストなどが載っている場合があります。是非参考にしてみてください。
CPU
CPUの性能はキャプチャを快適に行うために最も重要な働きをします。ソフトエンコでもハードエンコでも快適に使用するならば、最低でもPentiumIIIレベル以上のマシンパワーを要します。
普通に使用するだけであれば、クロックは1GHzあれば平気です。高画質を求めたり、リアルタイムでエンコードする場合などは、できるだけ高速のAthlonやPentium4をお勧めします。クロックが高ければ高いほど快適にキャプチャ(エンコード)ができます。
グラフィックカード
グラフィックカードは特に心配する必要はないですが、AGP接続タイプのグラフィックカードで、ビデオオーバーレイに対応しているボードを推奨します。
最近の製品であれば特に問題ありません。これからグラフィックカードの購入も考えているならDVD再生性支援機能・MPEG再生支援機能などと書かれているカードをお勧めします。視聴時の負担が低減できるうえ、高画質が期待できます。基本的にNVIDIAのGeForce系よりも、ATIのRadeonなどの方がオーバーレイ表示が綺麗に出来るといわれています。
ただし、グラフィックカードによってはビデオキャプチャカードとの相性で動作しなくなるケースもあります。
メモリ
メモリは多く積めば積むほど快適ですが、正直メモリはキャプチャにはあまり関係しません。ただパソコンが快適に安定動作できるメモリを用意してください。キャプチャやエンコードを快適に行うためにもOSの推奨しているメモリ容量の倍以上のメモリを積む事をオススメします。
HDD
HDDは、多ければ多いほど良いです。もちろん容量が多ければたくさん録画できます。できればOSなどの入ってるHDDとは別のパーテション、 HDDに録画することをお勧めします。OSやソフトのインストールされたドライブと同じ所にキャピチャすると、まれに転送速度が落ちパフォーマンス低下を招くことがあります。普通に使うならば100GBあれば大丈夫ですがヘビーユーザーは200GB以上ほしい所でしょう。
HDDは容量だけではなく、転送速度も配慮する必要があります。なぜなら動画はサイズが大きいため、映像をリアルタイムにHDDに取り込むため、適度な転送速度が必須になります。録画する映像はビットレートと呼ばれるもので容量と画質が決まります。ビットレートが高いとそれに見合った転送速度がないと HDDへの記録が追いつかなくなり、コマ落ちなどの障害が発生します。また、いくらCPUが高くてもHDDの転送が追いつかず、コマ落ちなどの現象が出てくる場合があります。最低でもATA100以上7200回転のHDDを推奨します。
AVIなど無圧縮で書き出すときも、速度の速いHDDを使用することをお勧めします。遅いと確実にコマ落ちを招きます。ファイルシステムもFAT32より、読み書きが安定するNTFSをご利用ください。NTFSにより最大ファイルの大きさの制限もなくなります。
OS
OSはキャプチャ製品の対応しているOSをご利用ください。大抵WindowsXP・Windows2000が一般的です。なかには WindwsMeなどで動作するカードもありますが、OSの安定性の面では2000やXPなどのNT系のOSを推奨します。最近はWinMeやWin98 などで動作するキャプチャカード自体が減ってきています。
動画の種類
動画の種類にもさまざまな種類があります。大きく分けてAVIとMPEGに分けられます。ここではそれらの中の一部をさわりだけ紹介します。
AVI形式
Windowsで一般的に使用されるファイル形式です。無圧縮AVIだと画質は劣化せず高画質で保存可能ですが、その分ファイルサイズもとてつもなく大きくなります。これを使用するとあっという間にHDD空き容量がなくなりますので、長時間の録画には向きません。
MPEG形式
容量も軽く普通に見る程度であれば十分な形です。VideoCDなど、CD1枚に収まるように開発された動画形式です。高画質保存には向きません。ですが動画自体が軽いためたくさん録りためたり、長時間録画には最適です。すでに圧縮されているので、これから再編集したり加工したりといった作業はお勧めできません。さらに画質が悪化します。
MPEG2形式
DVDのビデオ形式やBS/地上デジタル放送などのに利用される形式です。
MPEG1並に圧縮が優れており、高画質も実現できます。今現在一般的に利用される形式です。MPEGよりは画質が向上してますが、再編集したり加工したりといった作業はお勧めできません。
WindowsMediaVideo形式
MicrosoftWindows向けの開発されたもので、高画質化からストリーミング形式に利用されるなど幅広く使われます。インターネットの動画コンテンツによく利用されています。
QuickTime形式
Appleで開発され、MacintoshOSでの標準的な動画形式です。ネット上のストリーミング動画配信などに使われていたりします。ただWindowsのビデオキャプチャカードに付属しているソフトウェアなどは対応していない場合があります。
RealVideo形式
RealNetworks社が開発した動画形式で、ネット上のストリーミング動画配信向け煮提供される形式です。動画圧縮にも優れストリーミング向けなので高画質保存にはあまり使われません。
コーデック
AVIなどの動画を圧縮したりするのに使われるものです。コーデックは紹介するほかにもさまざまなものがあります。インターネットで探してみてください。
MPEG4形式
画質の圧縮率に優れ、非常に軽く動画を圧縮できます。地上波デジタル放送の携帯向けコンテンツ配信に利用されたり、インターネット上の動画コンテンツに利用されるなど幅広く使われています。
DivX形式
MPEG4ベースに作られたと言われる形式です。MPEG4よりさらに高画質・軽量化などの改善が施されいま人気で一般的な形式です。
Xvid形式
DivXを逆から読んだ名称。DivXが有料向けになったのに対し、DivXのオープンソースかを受け継いで今ひそかに人気の形式。DivXが一般的なのに対し、まだこちらは知名度は少ないが今後も期待できる形式です。
DV形式
デジタルビデオカメラ(DV)で使われる形式です。高画質で録画することができ、編集にも向いています。ただPC上で視聴するのには向いていません。
DVテープなどに書き出してテレビモニタで見る場合などに最適です。
AVIのコーデックには、DivX・Xvid・Microsoft DV codec・MS-MPEG4・Indeo・MotionJPEG・Huffyuv codecなどさまざまなコーデックが存在します。それぞれ特徴が異なりますので、ほかのサイトを覗いて調べてみるのも良いかもしれません。
普通にテレビ番組を録る、見るだけであればMPEG1-MPEG2で十分でしょう。
画面サイズとビットレート
画面サイズは画面の縦と横のサイズです。一般的に使用されるサイズは縦横比4:3(320×240・640×480)です。DVDやワイド画面では16:9(720×480・352×480)です。
MPEGなどに圧縮する際、ビットレートと言うものが非常に重要になってきます。これは動画の画質を見ける点でも非常に重要になります。ビットレートは動画1秒間にに割り当てる情報量のことで、多ければ多いほど画質は良くなり、低ければ低いほど画質が悪くなります。
また動画のファイルサイズもビットレートは高いほどファイルサイズが大きくなり、低いほど小さくなります。ビットレートが低いと動きが早いシーンなどでブロックノイズ(画面上の動いているシーンに四角いノイズが現れる現象)が頻繁に発生したりします。
固定ビットレートと可変ビットレート
ビットレートには固定ビットレートと可変ビットレートと呼ばれるものが存在します。
固定ビットレート(CBR)
固定ビットレート(CBR)とは、動画全体に同じビットレートを割り当てる方式で、音楽映像均一に同じビットレートが割り当てられます。
可変ビットレート(VBR)
可変ビットレート(VBR)とは、動画全体に同じビットレートを割り当てるのではなく、動きの早いシーンには高く、少ないシーンには低いビットレートを割り当てる形式です。
基本的に動画のファイルサイズはビットレートで決まるため、動画の縦横サイズを変えても出来上がるファイルサイズはほとんど変わりません。
キャプチャカードを選ぶ
実際にキャプチャカードを選びましょう。上記を呼んで自分のマシンで使えるものを選択します。基本的にキャプチャ機器の推奨環境より高いマシンスペックのものが好ましいです。
まず予算とマシンスペックと相談してソフトエンコかハードエンコを決めます。
中には3Dノイズリダクション・3DY/C分離機能・ゴースト低減機能などの画質向上機能を搭載したモデルがあります。余裕があるならばこれらを備えたモデルを選んでみてください。
キャプチャカードに搭載される高画質画質補正機能
ノイズリダクション
放送局から送信された電波の干渉などで画面上に現れたノイズを低減・除去し、綺麗な映像にする機能でザラザラした画面をクリアにします。
Y/C分離
映像信号の輝度信号と色信号を分離することにより、色のにじみやクロスカラーノイズなどを除去でき、画面のちらつきを抑えたり輪郭がクッキリした鮮明画像になります。
ゴーストリデューサー
電波の反射などによって発生したゴーストを除去し、重複した映像を整える働きをする機能。ゴーストの影響がなくてもこの機能をONにしておくと画像向上が期待できます。
最近では上記の機能を備えたハードエンコカードが1〜2万程度で入手できるのでお勧めです。
もっとも手軽で高画質を手に入れられる環境はCanopusのMTV-2000などのモデルです。値段は高いですが個人向けカードの中では最高といても過言ではありません。ただ今は生産中止しており、中古店で見かけたら是非ゲットしておきたい品です。
トラブル発生
ビデオキャプチャカードを買って取り付けたは良い物の動かない、映らないなどと言う場合は参考にしてください。
1. PCIスロットの場所を変えてみる。
ビデオキャプチャカードの挿してあるPCIスロットの場所を変えてみると、改善されることがあります。以前MonsterTV3を取り付けた際これで直りました。
2. DirectXの再インストール。
キャプチャの際にはDirectXが必要になります。まれに最新版のDirectXのインストールで改善することがあります。
3. グラフィックカード見直し。
グラフィックカードのドライバの影響で正しく動作しない場合があります。ドライバを最新版にする、前のバージョンに戻すなどの処置で改善できる場合があります。またビデオカード自体が悪さをしている場合があります。ビデオキャプチャカードとの相性の場合ビデオカードを変えてみてください。
4. マザーボード、チップセット、BIOSの改善。
マザーボードメーカーのドライバをアップデートしたり、チップセットのドライバの入れなおしで改善できる場合があります。まrたマザーボードのBIOSのアップデートも効果がある場合があります。
5. キャプチャカードのドライバ。
キャプチャカードのドライバをアップデートしたりしてみることで改善できる場合があります。製品に同封されているドライバCD-ROMに収録されているドライバが古い場合があるからです。Webサイトに行き最新版にアップしてみてください。
6. Windows依存問題。
WindoowsのHotfixなどにTVチューナー・ビデオキャプチャ関連の不都合修正などがある場合があります。マイクロソフトの技術情報をのぞいてみてください。
7. サポート情報。
メーカーのWebサイトのサポート情報などに同じ事例や現象のトラブルがないか調べます。そこの指示通りに対処してみてください。
8. 掲示板などを調べてみる。
さまざまなハードウェアのユーザーが集まる掲示板やキャプチャカードのサイトなどで同じトラブルが報告されていないかなど調べてみます。いくら調べてもわからない場合は質問してみましょう。その際は使用環境や状況、トラブル症状を明確に記載する事が重要です。掲示板でアドバイスを受け改善すればお礼を書き込む。もし直らなくてもお礼をすること。これはマナーです。
9. 他のマシンで試す、OSの再インストール
他のマシンが使えるならばそれらのマシンに挿して動作確認してみます。大抵の場合そこで動けば元のマシンに何らかの問題があると思われます。そこでも動かなければただ単にそのマシンにも問題があるか、キャプチャカード自体を疑ってみても良いかもしれません。
その他OSの再インストール後にキャプチャカードをインストールして試すと改善する場合があります。
10. サポートに尋ねる。
メーカーのサポートセンターに連絡してみます。初期不良や輸送不良などの場合も考えられるからです。そこで尋ねてもダメならばあきらめましょう。修理、交換しても改善する見込みがないのであればマシンとの相性が問題なのであきらめましょう。